ITシステムを外部の開発ベンダ等に委託して構築する際のプロジェクトマネジメントについて、発注者側/受注者側の両方の視点から、情報発信していきます。

「前ページ(その1)」からの続きです。

図の再掲


この図では、「業務要件」と「システム要件」がピタッとくっついているように書いていますが、実際は両者の間には大きな溝があります。
この溝がすなわち「発注者(システム使用者)」と「受注者(開発者)」の溝になるのです。

「発注者」は「業務要件」の視点で話し、「受注者」は「システム要件」の視点で話をすると当然話は噛み合いません。

ここで一つ確認です。
システム開発において「要件定義」という工程は避けて通れない訳ですが、この「要件定義」はこの「業務要件」と「システム要件」のどこまでの範囲を定義することを指すでしょうか?

私は、この定義が人によって(ITベンダーによっても)異なっていると感じています。
そうなると、「発注者」と「受注者」の認識も容易に異なってしまいます。

例として、ありがちなパターンを以下にあげます。


「受注者」は、『「発注者」は「業務要件」を定義するのはもちろんのこと、それをどう実現したいか「システム要件」の一部まで定義しておいて、細かな画面仕様などを協議の上決めていく』という認識です。



一方、「発注者」は、『システムのことはよく分からないから「システム要件」は「受注者」が当然定義し、かつ「業務要件」に精通し「業務要件」の視点で会話したい』という認識です。



逆に言えば、相手にして欲しいと思っている部分を除いた部分のみが自分たちで考える部分であるという認識のため、上記の部分が溝になるのです。もちろん、実際にはそれでは成り立たないのでどちらかが踏み込んで溝を埋めていこうとするのでしょうが、根底にその気持ちがあるのは否めないかなと思います。


基本的には、開発者はシステム専門家であり、システム利用者は業務の専門家なので、開発者が「システム要件」の視点でシステム利用者が「業務要件」になるのはある意味仕方ないのです。

これを解決するためには、お互いに相手の視点を持つように意識し、上記の溝となりえる部分をお互いにフォローしあえる関係構築ができれば、プロジェクトの成功に一歩近づいたと言えると考えます。

「次ページ(その3)」に続く。

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