ITシステムを外部の開発ベンダ等に委託して構築する際のプロジェクトマネジメントについて、発注者側/受注者側の両方の視点から、情報発信していきます。

プロジェクトにリスクは付き物です。よほどこなれたプロジェクトならともかくとして、プロジェクトを運営していく上で何かしらの想定外の事象が発生します。想定外の事象が発生するのは仕方ないとしても、可能な限りリスクを減らす対策や、リスクが発生した場合の対策を事前に検討しておきプロジェクトへの影響を最小限にとどめる努力は必要です。

また、リスク管理は発注者側・受注者側のどちらか一方が考えればよいものではなく、両者が協力して行っていく必要があります。

以下にリスク管理の一例を示します。


※画像をクリックすると拡大されます。

これをみると「えっ、ここまで考えるの?」「受注者側の問題は、発注者には関係ないのではないの?」と思われるかもしれません。
確かに、上記は理想論と言えなくもないでしょう。実際、ここまで明記している例は見たことはありません。ここまでやるには発注者・受注者に相応の覚悟がないと無理でしょう。
しかし、何が起こるかわからないプロジェクト運営においては、ここまで考えておくぐらいの覚悟は持ってほしいです。

「プロジェクトマネジメント義務」と「協力義務」」にも書きましたが、発注者が受注者に対して「金払っているのだから受注者で全部何とかしろ」という姿勢で臨む限りはプロジェクトの成功確率は低くなると言わざるを得ないでしょう。

受注者側で抱える問題を発注者も一緒になって考えるぐらいでないと、受注者は何か問題が発生しても発注者には報告をせず、最後の最後に問題がどうにもならなくなってから発覚し、その時点で対策しようにも「時すでに遅し」ということになりかねません。

あと、上記のリスク管理表で一番大切なのは一番下のものとなります。すべてのリスクを事前想定できればよいですが、実際問題それは困難であると言わざるを得ません。想定できないからどうしようもないのかというとそういうわけでもありません。リスクを「業務要件に影響があるもの」「スケジュールに影響があるもの」「費用に影響があるもの」等に分類して、分類ごとの対応方法をある程度事前に想定しておくのです。

少し余談の話をします。
「コブラ効果」という言葉をご存知でしょうか?インドで増えすぎたコブラを減らすために、コブラを駆除して死骸を持ってきた者に賞金を渡すという施策をとったところ、まじめに駆除する業者がある一方で、コブラを養殖して死骸を持参する業者が出てきてしまいました。これを知ってその施策を中止したところ、その養殖業者がコブラは金にならないと野に放ってしまって、結果コブラの数が増えてしまったという話です。

「コブラ効果」という言葉は、リスクなどをよく考えずに進めてしまって反対の結果が発生してしまったことを揶揄する時に使われることが多いようですが、新しいことを何か始めようとするときには想定外のことが発生するのは当たり前と言えるのではないでしょうか?大事なのは想定外のことが起きた時にいかに対応するかです。意味合いは違いますが「風が吹けば桶屋が儲かる」といったような予想外のことが当然起こりえると意識(覚悟)しておけば、いざ想定外のことが起こったとしても「やはり想定外のことが起こったか」と少し落ち着いていられると思います。

少し話が逸れましたが、プロジェクトを運営していく中で当然想定外のリスクは発生しうると覚悟して、発注者・受注者が協力して対応していく姿勢(覚悟)が必要と考えます。

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