ITシステムを外部の開発ベンダ等に委託して構築する際のプロジェクトマネジメントについて、発注者側/受注者側の両方の視点から、情報発信していきます。

システム設計は基本的に受注者である開発ベンダーが行うことですが、使い勝手にもかかわるものであり、開発ベンダーだけで決められるものではなく、両者が協力して進めていく必要があります。
ここでは、発注者側として意識しておくべきことを書いてみようと思います。

まず、当たり前の話ですが、システムを使って業務が成り立つことが大前提です。システム設計を進めていくと、見た目や使い勝手でいろいろ気になるところが出てくると思いますが、まずは一連の業務が成り立つかどうかを確認したうえで、使い勝手や見た目の部分を検討するという流れにしておくべきです。
一つの機能の見た目や使い勝手の協議に時間を重ねすぎて、他の機能の協議の時間が足りず、結果業務が成り立たなくなってしまうというのは本末転倒です。とりあえず一連の業務ができることが確認できれば、(多少使い勝手が悪かろうが)業務は成り立たせることが可能なので最悪の事態は回避できるでしょう。

次に使い勝手というところになりますが、これは少々厄介です。発注者側が細かな使い勝手にこだわりすぎてシステム設計が確定しないということはありがちです。とはいえ、せっかくシステムを入れたのに使い勝手が悪く結局使い物にならない(業務に時間がかかりすぎてしまう)ことになってしまってもいけません。業務上重要なこだわりなのか、それとも単なる一担当者のこだわりなのか、この切り分けは容易ではありません。しかし線引きを巡って協議が難航してしまうことは、プロジェクト推進していくうえで看過できる問題ではありません。

では、どうするかですが、優先順位をつけるしかないでしょう。
その機能(作業)が全体の業務の中で
  • どれだけの重要度の作業なのか
  • 業務時間のどれぐらいの割合を占める作業なのか
を、その他の機能(作業)を比較して判断します。

各担当者は自分の業務のことしか頭にありません。声が大きい人や部署の意見が優先されてはいけません。全体を把握するプロジェクト管理者が判断するしかありません。場合によっては、上層部での判断が必要になるかもしれません。
例え「こうすれば使い勝手がよくなる」というものであっても、全体から見たらほとんど使うことがない機能で業務効率化につながると言えないようものは、費用対効果を考えても抑えるべきでしょう。きつい言い方をすればそれは趣味の世界と言わざるを得ません。

また、この判断は受注者である開発ベンダーが決められるものではありません。各業務の重要度や作業時間の割合などは開発ベンダーには分かりませんし、業務的な判断は発注者がすべきものです。仮に開発ベンダー側が提示してきたシステム設計において、重要度が低い機能に時間をかけている様子が見られた場合は、他の優先すべき機能を優先するように導くべきでしょう。

システムを構築するのは、あくまで業務を成立させるという目的を果たすための手段であって、システム構築自体が目的とならないように気を付けましょう。

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