ITシステムを外部の開発ベンダ等に委託して構築する際のプロジェクトマネジメントについて、発注者側/受注者側の両方の視点から、情報発信していきます。

品質管理というと難しく(堅苦しく)感じるかもしれませんが、簡単に言うとプロジェクトが順調に進んでいるかどうか、求める成果が得られているのかどうかを客観的に判断出来るように指標を設けて管理しようというものです。
自分たちの作業や成果に対して指標を設けるというのは、ある意味自分たちの仕事の評価をされるということになるので抵抗を感じてしまうかもしれません。ただ、指標もなく黙々と作業をしていくよりは、指標を持ったほうが達成感を感じやすくもなり、外部からも評価されやすくなります。

以下に品質指標の例を挙げます。

※画像をクリックすると拡大されます。
※上記指標は一例です。他にもさまざまな指標が存在します。(インターネット上でも沢山の例が見つかります。)

品質指標にどういう指標を設定するかは、プロジェクトの事情もあるので一概には言えませんが、ポイントとしては
  • 実効力のある指標にする
  • WBSの作業項目とバランスをとって指標を設ける
  • すべてのプロジェクト関係者に対して指標を設ける
といったことがあげられます。

「実効力のある指標にする」というのは、「品質管理のための品質管理をしない」ということです。もっと平たく言えば表面的に「品質管理をしています」と形だけの指標としないということです。前述のように指標は仕事の評価にもなるので、達成しやすい指標であったり、形だけの指標になったりします。もちろん、それでは指標を設定する意味がなくなってしまいます。また、それぞれのプロジェクトで指標を個別に設定するのが難しいため、ありきたりの指標になることもあります。一般的な指標はもちろん利用すればよいのですが、形だけの指標となりやすいので、様々な指標の中からプロジェクトにあわせた指標を選択して利用することが望ましいです。

「WBSの作業項目とバランスをとった指標にする」というのは、プロジェクト全体の品質を上げるために重要となります。もちろん、プロジェクトで重点を置くWBSの作業項目に指標を設けるというのも一つの考え方ではありますが、プロジェクト全体を正常に運営していくためにはWBSで定義するすべての作業範囲をカバー出来るように指標を設けておくように心がけてください。

「すべてのプロジェクト関係者に対して指標を設ける」は、前のWBSのすべての作業項目に指標を設ければ必然的にそうなってくると思います。プロジェクトの作業を行うすべての担当者はその作業に関わる指標を意識しながら作業を進めていく必要があります。上記サンプルにある「運用保守」の指標などは、一般的に発注者が受注者に対して結ぶSLA(Service Level Agreement)に含まれることが多いですが、その他の品質指標でも多くは発注者が受注者に対して課す指標となることが多いです。ただ、いくら受注者(開発者)が頑張っても、要件の洗い出しが十分でなかったり、意思決定が遅かったりといった受注者側の作業品質に問題があればプロジェクトの正常運営に支障が出てしまいます。他部署の担当者や上司に対して指標を設けるのは難しいと思いますが、正常なプロジェクト運営という目的をきちんと説明して理解してもらう努力が必要と考えます。


品質の指標はプロジェクト全体の作業項目にバランスよく設定することが大事ですが、あまり指標の数を多くしてしまうと指標を記録したり報告資料とまとめたりといった作業の手間が増えすぎて本来やるべき作業の時間を奪われてしまうことがあります。品質管理は、あくまでプロジェクトを円滑に推進するための手段であって、品質管理自体が目的となってしまわないよう注意が必要です。

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